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vol.25 出会いなおし


素敵な ”小説”に 出会った 素敵な ”考え方”に 出会った

出会いなおし 森絵都 文藝春秋

年を重ねるということは、
おなじ相手に、何回も、出会いなおすということだ。

会うたびに知らない顔を見せ 人は立体的になる。

※あらすじ※
たやすくプロになってしまった幸運により
自分の作品を疑いながらも、夢中で描き続ける新人イラストレーター佐和田

仕事相手にボロを出してはならない。皆から距離をおき、打ち合わせも手短に
「佐和田さん、お忙しいんですね」
誤解され、インチキの皮をまとい 自分への信頼をまた損なっていた頃

仕事を依頼してくれたのが 編集者ナリキヨだった
率直で、マメな、ナリキヨ
誰かと一緒に仕事をする意味と 
連絡を取り合うことで獲得できる信頼関係を感じ、
心を開きかけた佐和田だったが

その後、佐和田はパリへナリキヨも仕事が変わり
そんな二人が数年後再会する

いまの心と頭で 多くの人に出会いなおしたい

小説を読みながら、これまで出会い、
出会いながら、関係を築けなかった人の顔がどんどん浮かぶ。

出会いなおしたい。

人と向き合うのは、自分を相手という鏡で出すようなもの。
相手を通じて鏡に映る自分に
真正面に向き合えるようになったのは
ほんの最近のことのように思う。

関係性を構築できなかったことで、素直になれなかったのではなく、
素直になることを避けたことで、構築できなかった関係性。

佐和田と同じだった。
ボロを出してはいけない
インチキ(嘘ではないが、隠れ蓑のような)の厚い皮をずっと纏っていた。

佐和田は、仕事のキャリアがまだ浅いことからくるものだったが
わたしは自己受容できていなかったから。
(このことはどこかで書きたいと思います)

今の心と頭で、多くの人を思い出す。
今度会えたら、単なる「再会」ではなく、「出会いなおし」ができる
心でいたいと思う。

もう、相手に映る自分を、まっすぐみても大丈夫だから
自分でなく、そのまま相手を見つめられるだろう。

どんな一面を表情をみせてくれるだろうか。
きっとかけがえのない一瞬を共にできるだろう。
出会ったら、相手の存在をただ感じること。
いまならできそうだ。

その自然なことが、どうしてこんなにも難しかったのだろうか。

あの人にもこの人にも、出会いなおしたい。
と、不思議なことに、思い出すだけで、温かい気持ちにもなる。
やはり 幸せは、関係性の中にある。

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