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井上達陽さんのはたブキ『電気の地産地消を実現したいという想い』5/5


<復興がれき神輿(ギリシャでの様子)>

<復興がれき神輿(石巻市での様子)>

井上達陽さんのはたブキ「電気の地産地消を実現したいという想い」

「電気の地産地消を実現したいという想い」ストーリー

1. プロジェクトマネジメントをやっている会社で、再生可能エネルギーの普及に携わる仕事。

2. 『ティール組織』日本語版出版と同じ年、うちの会社もティール組織に移行
3. 今までの成功モデルがこれからの成功モデルに当てはまらない。「ほんまにやりたいことじゃないと、人はやらない」
4. 働きがいのある会社ランキングで5年連続ベストカンパニー受賞。ベースにある理念が『成長と貢献』
5. 『日本中に途絶えない光を灯す』がチームみんなのスローガンでありミッション
6. 東日本大震災、車が流れる映像に突き動かされボランディアに。自然への敬意と人間の素晴らしさを感じた大学時代
7. 10あった電気、使っているのは2。すごくもったいない、エコじゃないと。
8. 次の世代にこの地球を残すため、電気の価値観を変える。必要な分をコントロールして作って使うように。
9. 被災者の財産だったがれき(瓦礫)で神輿を作り、お祭りでかつぐイベントを開催、Yahoo!のトップニュースにも。
10. 日本は終わっていない、石巻こんなに元気にやっているよを届けた、世界26か国の船旅
(今回は9と10)

9.被災者の財産だったがれき(瓦礫)で神輿を作り、お祭りでかつぐイベントを開催、Yahoo!のトップニュースにも。

― いろいろお話をお伺いしてきました。そんな井上さんの「働く武器[はたブキ]」は何でしょうか?
井上:電気の地産地消を実現したい、そういう思いですかね。

― ありがとうございます。まっすぐなお仕事への想いそのままですね。その想いの原点となった石巻でのご経験、先ほどに加えて神輿のお話もご紹介いただけますか。
井上:分かりました。僕の原体験である東日本大震災でのボランティア活動の1年間には、おまけみたいなのがあって(笑)。
井上:何とかしなあかんという思いで行ったボランティアなんですけど、いろいろやりました。泥かきだったりとか、炊き出しとか、避難所への引っ越しとか。何かいろいろやったんですけども、その中に1つ、イベントを企画して、その地域でお祭りというのをやったんです。当時Yahoo!のトップニュースにも出たんですけど、がれき(瓦礫)を使ってお神輿を作ったんですね。それをその町内で担いで、復興がれき(瓦礫)神輿を担ごうというのをイベントとして1つやりました。そのがれき(瓦礫)というのは、もともとは被災者の財産やった。それを担いで復興を願おうというのがあったんです。


<石巻のみなさまの思いが書かれた木札>

<復興がれき神輿とオモイをピースボードにのせて>

10.日本は終わっていない、石巻こんなに元気にやっているよを届けた、世界26か国の船旅

井上:それが回り回って、そのがれき(瓦礫)神輿を世界中でも担いでくれへんかみたいな話をもらえて、その後、その神輿を持って、ピースボートという世界一周の船旅があるんですけども、そこでがれき(瓦礫)神輿(実際は瓦礫ではない、詳細は下記)を世界中で担いだというのをやっていました。
― すてきです。26カ国。
井上:はい。毎年(ピースボートは)周る航路が違うんですけど、僕の(参加した)75回クルーズは26カ国回って。

― その際、石巻の皆さんからのメッセージを神輿の中に入れて、逆に世界の方のメッセージをもらって、元気の交換をしたのですね。
井上:そう。神輿って、神社の御子玉を移して担ぐものなんですけれども、御子玉をさすがに持っていくことはできないので、じゃ、僕たち何を担ごうかとなったときに、石巻の人の思いを担ごうと、小さな木札(木片)に石巻の人の思いを書いてもらって、世界中にそれを届けようと。その裏には、世界中の人たちの、逆に日本へのメッセージを書いてもらって、それをちゃんと石巻の人にも届けようと。日本はまだ終わっていないぞと。石巻こんなに元気にやっているよというのをちゃんと届けて、世界中からも応援メッセージもらおうよというのでやっていました。

― すてきですね。そういう原体験があって、原子力、その技術はこれまでの日本では有意義なもののだったんだ、けれど再生可能というエネルギーが開発されて、今は、次は、こうあるべきという、新たなエネルギーの世界が広がればいいなという思いということですね。
井上:そうですね、はい。

― ありがとうございます。そして偶然にも、井上さんはお名前に太陽の陽という字が入っているということで(笑)。
井上:達陽と書いて「たつや」と読みます。太陽に達するという意味なんですけど、回り回って太陽光の仕事をさせてもらっていて、何かすごく自分の中のミッションに近づいていっているのかなとか思いながら。
― お名前、大学時代の経験、そして今の仕事がつながっている、今日は井上達陽さんにお話をお聴きしました。ありがとうございました。
井上:ありがとうございました。

<取材後記>

最近大学生と話をすると、すこし未来予想に偏りすぎていないだろうかと感じることがあります。業界や企業、働き方の選択には、もちろん不安はあるでしょうが、業界研究を超えた予想大会に意味はない。どの道がベターか未来は誰にもわからない。わたしたちがこれからつくるのです。

判断の鍵は、社会でどんな人にどう役立ちたいか、どんな世界を作りたいかです。
それを見つけることこそ人生のテーマ、自分が大人になる中で関わる日々から紡がれるものでもあり、学生までに見出す方はよっぽどでしょう。

だからこそ、学生の若い間にできるのは、視野を広げること。
さまざまな経験を、できれば大人になると時間的な制約などでできなくなってしまう冒険(日常の延長でない体験)をすることが重要です。
そこで原体験に、原石に出会える可能性があります。

今回のインタビュー井上達陽さんの「はたブキ」、東日本大震災で感じた衝動・2つの学びという原体験にすべてのベースがある。多くの方に、特に就職活動を考える前、大学生や高校生に読んでいただきたいと思います。

東日本大震災のボランティア活動では、価値観がリセットされるほどのご経験をなさったそうです。ここに文章として書き表せない内容もありました。

しかし、そのようなご経験をされても、原子力に対して否定的な言葉はまったくない井上さん。原子力にしても、その時代ではこれが役立つものだと、そう考え抜いた英知であり否定すべきでない、これが井上さんの姿勢です。「ただ今は、現代の英知で、自分たちにできることをやり抜きたい」。清々しいとても気持ちの良いインタビューでした。

(人見)

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